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岐阜県各務原市上ノ島神明神社の蕃塀(1)
今日からは、岐阜県各務原市川島(旧羽島郡川島町)に所在する蕃塀を紹介したい。
岐阜県各務原市川島松倉町に所在する上ノ島神明神社は、創建年代などの由緒は不明である。『延喜式神名帳』に記される尾張国葉栗郡川島神社に相当する式内社と考える説がある。境内にある由緒書によれば、松倉村をはじめ近郷14ヶ村に氏子を有していたと伝えられ、松倉城の鬼門として坪内氏の信仰を受けていた。本殿・社務所・手水舎は昭和初期、幣殿は昭和4年(1929)、太鼓橋・蕃塀・鳥居は昭和10〜11年(1935〜1936)の建築で、これら7件は平成19年(2007)に登録有形文化財に登録された。祭神は天照大神である。 上ノ島神明神社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約3.9m、全高約3.3m、屋根長約5.0m、屋根巾約0.8mを測り、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切石積みで囲まれた高いコンクリート製基壇を持ち、その上に礎石と布基礎を置き、礎石上に円柱を2本立てて屋根石を載せている。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は角柱による束柱を2本立て3区画に分けられ、その表面には両側の区画で獅子紋、中央の区画で虎紋が彫刻されていた。裏面には、中央の羽目板で「昭和十二年七月 奉納 (地名+人名2名分)」の文字が刻まれていた。欄間部は扁額などを持たず頭部を両端に配置される双龍紋が表現されていた。円柱の柱頭には腕木板が前後にあり、連子窓部は角柱を11本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟(入母屋?)状に切り出された緩い反り屋根で、上部に載せた棟木石の両端には鬼板が置かれていた。棟木石の表面には二ツ巴紋が3個彫り込まれていた。控え柱は全て石造で、控え貫は円柱で2本ずつ存在し、頭部が宝珠に形作られている。 上ノ島神明神社は、正面から灯籠、鳥居、灯籠、蕃塀、灯籠、太鼓橋、壁の無い吹き抜けの平入拝殿、狛犬、渡殿から基壇上の本殿施設群(幤殿や本殿など)に至る構成を持つ。 上ノ島神明神社の蕃塀は、昭和12年(1937)に製作されたものだが、作者は不明である。高さが3mを超える大規模なもので、彫刻などにも特徴が多く存在する優美な作品である。次回、さらにその特徴を詳細に検討したい。
by banbeimania
| 2009-05-12 01:00
| 蕃塀の事例
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