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名古屋市港区南陽上中神明社の蕃塀
名古屋市港区南陽町西福田5丁目に所在する上中神明社は、境内にある由緒書きによれば、享和2年(1802)に創建されたという。現在の本殿は昭和43年(1968)に造営された。祭神は天照大神である。
上中神明社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀である。大きさは概略で、本体長約2.0m、全高約2.0m、屋根長約2.5m、屋根巾約0.6mで、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切り石を周囲を巡らせた石製基壇を持ち、その上に礎石と石製布基礎を置き、礎石上に円柱を2本立てて屋根石を載せている。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は角柱による束柱を2本立て3区画に分けられ、その表面には両側の区画で獅子紋、中央の区画で牡丹紋が彫刻されていた。裏面には、中央の羽目板で「奉納 (地名+人名1名分) 氏子中」、左側束柱で「平成六年十二月吉日」の文字が刻まれていた。欄間部は「神明社」と記された扁額を持ち、頭部を両端に配置される双龍紋が表現されていたが、透かしは全く認められない。円柱の柱頭には腕木板が前後にあり、連子窓部は角柱を9本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟状に切り出された緩い反り屋根で、上部に載せた棟木石の両端は外側に突き出ていた。控え柱は全て石造で、頭部が宝珠に形作られている。 上中神明社は、正面から鳥居、灯籠、蕃塀、灯籠2対、狛犬、コンクリート製妻入拝殿、渡殿から本殿施設群(祭文殿や本殿など)に至る構成を持つ。 上中神明社の蕃塀は、平成6年(1994)に製作されたものだが、作者は不明である。本蕃塀は、主柱だけではなく束柱も立派な礎石を持つ構造となっており、こうした事例は新しい事例に多く認められるといえよう。
by banbeimania
| 2009-05-21 23:16
| 蕃塀の事例
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