これまでに束柱のみを置く欄間部のAタイプからDタイプまでの事例を紹介してきた。今回は、束柱のみEタイプを取り上げてみる。
正面からみて桃実状の束柱を置く「束柱のみEタイプ」の欄間部を持つ石造連子窓型蕃塀には、稲沢市西島神明社と稲沢市西島天神社の事例が認められる。
稲沢市西島神明社の蕃塀の欄間部
稲沢市西島天神社の蕃塀の欄間部
稲沢市西島神明社と稲沢市西島天神社は、ともに1937年に製作され、作者は不明である。同じ集落内にある神社で同じ年に製作された蕃塀が、欄間部において極めて局所的に共通していることからみて、単発的に発生した石造連子窓型蕃塀の一種として理解すべきものと思われる。