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全てに獅子紋を置く3間の羽目板部(その12)
3間巾の石造連子窓型蕃塀の羽目板部は大きく11類に区分でき、このうち最初に取り上げる3区画とも獅子紋が表現される事例は7類に細分される。今回は最後の全獅子紋Gタイプの羽目板部についてみていきたい。
両端の獅子は腰を落とし、中央の獅子は後脚を高くあげる「全獅子紋Gタイプ」の羽目板部を持つ3間巾の石造連子窓型蕃塀には、一宮市東五城南田尾神明社の事例のみが存在する。これを具体的に例示する。 この東五城南田尾神明社の蕃塀は、1934年に名古屋市西区八坂町の石工角田六三郎によって製作されたことが判明している。両端の獅子は前脚に玉を置く「玉取獅子」で向き合っているのに対し、中央の獅子は玉を持たず右を向いている。3区画とも獅子紋が表現される事例は多数存在するが、両端が玉取獅子となるものは本事例のみである。 このように、東五城南田尾神明社の蕃塀は、紋様の構成は特異な事例に属するが、獅子の顔つきなどは石工角田六三郎の作風がにじみ出ているものと評価できるだろう。
by banbeimania
| 2010-07-28 21:35
| 蕃塀を深める
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