3間巾の石造連子窓型蕃塀の羽目板部は大きく11類に区分できるが、そのうち、両端に獅子紋および中央に諸紋を置く事例は16類に分類できる。今回は、中央の羽目板に蛇が表現される「2獅子1諸紋Iタイプ」を検討する。
この2獅子1諸紋Iタイプの羽目板部を持つ3間巾の石造連子窓型蕃塀は、稲沢市六輪八幡社のみに事例が認められる。これを具体的に例示する。
稲沢市六輪八幡社の蕃塀の羽目板部
さて、この稲沢市六輪八幡社の蕃塀は1929年に角田乙吉によって製作されたことが分かっている。問題は中央の羽目板にある蛇紋である。蛇の上部に「巳年」の文字が刻まれており、この蛇紋は巳年を意味していることが判明する。実際に蕃塀が製作された1929年は巳年であった。
(2010年11月27日に修正した)