木造連子窓型蕃塀の屋根を支える腕木と肘木は、装飾のあり方から大きく22類に区分できるが、今回はその中で14番目の「湾曲腕木と雲形彫刻入り肘木の組合せ」の事例について詳しく検討したい。
湾曲腕木と雲形彫刻入り肘木の組合せを持つ木造連子窓型蕃塀は、腕木は下部先端が斜めに薄くわずかに弧状に削られているもので、かつ肘木は側面に彫刻を入れた雲形に切り出されたものである。小牧市実々神社にのみ事例が存在する。これについて詳しく検討したい。
小牧市実々神社の蕃塀の腕木と肘木
この実々神社の蕃塀は製作年代と製作者は不明である。3間巾の木造連子窓型蕃塀で、銅板一文字葺き屋根がのる。屋根は、大棟の両端が外側に突き出て、大棟の上に千木と鰹木が載る「銅板葺き直線屋根Aタイプ」で、規模はやや大きい。