蕃塀(ばんぺい)にこだわったブログです。蕃塀は神社の拝殿の前にある衝立状の塀です。
by banbeimania
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稲沢市長束町白山社の蕃塀

 稲沢市長束町西北浦に所在する白山社については、創建年代など詳細は不明である。『寛文村々覚書』には記述がないが、『尾張徇行記』には大光寺の「境内白山社アリ」と記載されている。17世紀後半から19世紀初頭までの間に創建されたものと推測される。祭神は社名からみて菊理媛命と推察される。

 長束白山社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.6m、全高約2.3m、屋根長約3.5m、屋根巾約0.6mを測り、両側に控え柱を持つ。

 詳細の構造は次の通り。基壇および礎石・布基礎を持たず、直接地面に円柱を2本立てて屋根を載せている。ただし、礎石は地中に埋もれてしまっている可能性も考えられる。円柱の内側には下から羽目板部、貫、連子窓部、貫、透かし部の順に石材を積み重ねている。羽目板部は角を落とした角柱を2本立てて3つの区画に分けており、表面は隅を丸く加工した方形の単純な形を切り出したままであって装飾的な彫刻などは全く認められない。中央の羽目板部裏面には「昭和二年九月建之 寄附者 ナゴヤ(人名2名分) 石匠 石松」と刻まれていた。透かし部は隅を丸く加工した方形に透かしを2個設け、中央に「白山社」と記された扁額が配置されている。2個の横長の長方形透かしには、横方向に銅製角材が渡されている。円柱上位に雲形腕木を模した張り出しが前後にあり、連子窓部は角柱を11本立てて造られる。屋根は寄せ棟状に切り出された緩い照り屋根となっており、大棟は外側にわずかに突き出ている。控え柱は全て石製で、頭部は宝珠形に作られている。

 長束白山社は、正面から灯籠、一の鳥居、灯籠、二の鳥居、蕃塀、灯籠群、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、灯籠群、狛犬、渡殿から本殿施設群(祭文殿や本殿)に至る構成を持つ。

 長束白山社の蕃塀は、昭和2年(1927)に石匠石松により製作されたものである。この「石匠石松」は稲沢市長束の「石工石松」と同一人物と思われる。石工石松の手による蕃塀は、これまで確認されたものに稲沢市赤池諏訪社(昭和6年)と稲沢市井之口日吉社の蕃塀(昭和8年)がある。これらは3事例とも、透かし部は2個の長方形透かしを持ち中央に扁額があること、羽目板部に彫刻を持たないこと、屋根面がやや膨らむ照り屋根となっていることなど、多くの点で共通した特徴を持っている。石工石松が造る蕃塀はある程度定型化したものであった可能性が高いといえよう。
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by banbeimania | 2007-10-13 00:26 | 蕃塀の事例 | Comments(0)
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