蕃塀(ばんぺい)にこだわったブログです。蕃塀は神社の拝殿の前にある衝立状の塀です。
by banbeimania
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稲沢市天池東町八幡社の蕃塀

 稲沢市天池東町に所在する八幡社については、創建年代など詳細は不明である。『寛文村々覚書』には天池村に八幡・権現・大明神・天神・権現・鎮守の六社があるといい、「前々除」と記されている。祭神は社名からみて応神天皇と推察される。境内には記念碑があり、表には「昭和卅八癸卯年三月竣功 八幡社拝殿渡殿手水舎再建記念碑 天池氏子中 国府宮々司田島仲康識」、裏には「昭和三十四年九月二十六日伊勢湾台風により拝殿手水舎倒壊のため昭和三十七年八月着工してこれを再建す (以下略)」と記されていた。

 天池東八幡社の蕃塀は、2間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.2m、全高約2.2m、屋根長約2.8m、屋根巾約0.5mを測り、両側に控え柱を持つ。

 詳細の構造は次の通り。切石で周囲を囲まれた基壇上に礎石と布基礎を配置し、その上に円柱を2本立てて屋根を載せている。円柱の内側には下から羽目板部、貫、連子窓部、貫、透かし部の順に材を積み重ねている。羽目板部は中央に非常に柱を1本立てて2つの区画に分けた状態となっており、その両区画には獅子紋が削り出されている。左側の羽目板部裏面には「昭和三十八年三月建之 寄進 (人名3名分)」、右側の羽目板部裏面には「岡崎市石工 永田清一」と刻まれていた。透かし部は双龍紋が描かれ、頭部を中央に寄せた状態で向かい合い中央に「八幡社」と記された扁額が存在するものである。透かし部の分類ではDタイプに近いが、扁額を持つ点が異なる。円柱上位に雲形腕木を模した張り出しが前後にあり、連子窓部は角柱を7本立てて造られる。屋根は寄せ棟状に切り出された緩い反りを持つ屋根で、大棟は両外側にわずかに突き出ている。控え柱も全て石製であるが、柱の高さは比較的短く、頭部は宝珠形に形作られている。

 天池東八幡社は、正面から灯籠、一の鳥居、長い参道、二の鳥居、灯籠、蕃塀、灯籠、壁の無い吹き抜けの鉄筋コンクリート製妻入拝殿、渡殿、灯籠、狛犬から基壇上の本殿施設群(祭文殿や本殿)に至る構成を持つ。

 天池東八幡社の蕃塀は、昭和38年(1963)に岡崎市の石工永田清一により製作されたものである。石碑の記述も合わせて考えると、拝殿・渡殿・手水舎の再建に合わせて蕃塀も同時に再建されたものと推測される。作者の永田清一を特定することはまだできていないが、現在の岡崎石工団地協同組合に属する株式会社永田石材問屋に相当するのであろうか。本蕃塀の龍と獅子の彫刻は細工が精細で美しい。透かし部の双龍紋は、他の多くの蕃塀と類似してはいるが、紋様パターンを類型化すると同類に属するものはなく、結果的に石工永田清一独特の作風となっているといえる。
e0113570_20363711.jpg

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by banbeimania | 2007-10-28 20:37 | 蕃塀の事例 | Comments(0)
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