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稲沢市祖父江町山崎宮附神明社の蕃塀
2008年が開けました。皆様、おめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。さて、マニアなので、新春早々から事例紹介をしたいと思います。
稲沢市祖父江町山崎字宮附に所在する神明社は、創立年代は不詳である。『寛文村々覚書』には山崎村には大明神・神明・白山・八幡・神明の5社があると記載されており、神明2社のうちの1社を指していると考えられる。祭神は天照大神と推測される。 祖父江山崎宮附神明社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.6m、全高約2.3m、屋根長約3.7m、屋根巾約0.7mを測り、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。周囲に切り石を置く非常に低いコンクリート製基壇上に円柱を2本立てて屋根石を載せる。円柱の内側には下から地貫、羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は角柱による束柱を2本立て3区画に分け、両側の区画には岩上に蹲踞する獅子紋が、中央の区画には円紋が描かれている。欄間部は角柱による束柱を2本立て3区画に分け、各区画に一文字ずつ「神明社」の文字が彫刻されている。羽目板部の中央の区画裏面には「昭和十一年十二月 (住所+肩書+人名4名分)」、右側の区画裏面には「津島町 彫刻師 石龍」の文字が刻まれていた。円柱柱頭に腕木板はなく、連子窓部は角柱を10本立てて竪連子に造られている。屋根は寄せ棟状に切り出された照り屋根で、その上に棟木石を載せ、その両端は外側に突き出ている。控え柱も全て石製で、頭部は宝珠形に造られていた。 山崎宮附神明社は、正面から灯籠、鳥居、灯籠、蕃塀、狛犬、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、渡殿、灯籠群、狛犬から基壇上の本殿施設群(祭文殿や本殿)に至る構成を持つ。 山崎宮附神明社の蕃塀は、昭和11年(1936)に津島市の石工石龍によって製作されたものである。これまで紹介してきた事例の中で石工石龍による蕃塀は存在していない。さて、本蕃塀は羽目板部の獅子紋のあり方が特徴的である。これまでに紹介してきた蕃塀では多くは石板に浮き彫りされた形に彫刻が施されているが、本蕃塀では浮き彫り状ではなく一体の彫刻が張り付いたような形となっているのである。
by banbeimania
| 2008-01-01 16:34
| 蕃塀の事例
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