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春日井市東山町松原神社の蕃塀
春日井市東山町に所在する松原神社は、境内に掲示された由緒によれば和銅4年(711)の創立と伝えられる。古くは高牟神社と号し、延喜式神名帳に記載された「尾張国春日部郡高牟神社」に比定する説がある(名古屋市守山区所在高牟神社を当てる説もある)。中世には稲荷大明神を合祀し、明治5年(1872)に松原神社と改名した。祭神は高皇産霊尊・倉稲魂命・埴山媛命・雅産霊命・大宮姫命・大山祇命・猿田彦命・底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后である。
松原神社の蕃塀は、3間巾の木造銅板葺き連子窓型蕃塀である。大きさは概略で、本体長約4.5m、全高約3.1m、屋根長約5.8m、屋根巾約2.5mで、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。周囲に切り石を並べたコンクリート製基壇に切り石の礎石と布基礎を置き、その上に円柱を4本立てて下から順に地貫、腰長押、内法長押を通し、上端は棟木を渡す。内法長押の上に雲形肘木と雲形腕木を架し、表裏両面の出桁を支え垂木を渡して屋根を載せている。屋根は切妻造りの反り屋根で、銅板が一文字葺きされている。大棟の両端には鬼板が置かれている。屋根は全体に銅緑色を呈するが、大棟の上部と鬼板は赤銅色に塗布されていた。蕃塀の中央には竪連子窓が設けられ、その上下には縦羽目板が嵌め込まれていた。控え柱は全て木製で造られている。基本は白木造りであるが、肘木と腕木の先端は白色に塗布され、垂木などの先端は錺金具で装飾されていた。 松原神社は、正面から灯籠、鳥居、灯籠群、百度石、蕃塀、灯籠、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、渡殿、狛犬から壇上の本殿施設群(祭文殿や本殿)に至る構成を持つ。 松原神社の蕃塀は、製作年代や作者は不明である。式内社に相応しく3間巾で規模もやや大きい。屋根は銅板の内側に板材が重複する状態が観察され、柿葺きである可能性も考えられる。また、蕃塀側面にある懸魚の彫刻は細かく、基壇の造りもやや複雑であることから、比較的手の込んだ作品と考えられる。
by banbeimania
| 2008-01-31 22:38
| 蕃塀の事例
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