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名古屋市名東区上社日吉神社の蕃塀
名古屋市名東区上社2丁目に所在する日吉神社は、創建年代などの由緒は不詳である。境内にある由緒書きには、元禄7年(1694)『上社村覚』に記述があり、明治44年(1911)に貴船神社の分霊を合祀したという。主祭神は大山咋神と大巳貴神である。
上社日吉神社の蕃塀は、2間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.7m、全高約2.4m、屋根長約3.4m、屋根巾約0.6mを測り、両側には控え柱を持たない。 詳細の構造は次の通り。自然石で囲まれた基壇に礎石と布基礎を置き、円柱を2本立ててその上に屋根石を載せる。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は幅広の角柱による束柱を1本立て2区画に分け、表面には獅子紋が施されている。右側羽目板部の裏面には「昭和三十八年四月」、左側羽目板部の裏面には「いろは順 (人名21名分)」の文字が刻まれていた。欄間部は「日吉神社」と記された扁額を中央に置き、その両側には頭部を両端に置いた双龍紋が施されている。円柱の柱頭に腕木板が前後と外側にあり、連子窓部は角柱を13本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟状に切り出された反り屋根で、棟木石は外側に突き出ている。 上社日吉神社は、正面から灯籠、一の鳥居(石造)、灯籠群、二の鳥居(木造)、灯籠、蕃塀、灯籠、狛犬、木造平入拝殿から本殿施設群に至る構成を持つ。 上社日吉神社の蕃塀は、昭和38年(1963)に製作されたが、作者は不明である。羽目板部の獅子紋は右側に花紋、右側に玉紋が添えられており、こうしたタイプは類例が少ないだろう。
by banbeimania
| 2008-07-30 00:45
| 蕃塀の事例
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