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海部郡七宝町伊福部社の蕃塀
海部郡七宝町大字伊福字宮東に所在する伊福部社は、伊福部連により天平2年(730)に創建されたと、境内にある由緒書きに記されている。秋葉神社・津島神社・村上社・八幡社が合祀されている。祭神は日本武尊である。
伊福部社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.7m、全高約2.5m、屋根長約3.6m、屋根巾約0.7mを測り、両側には控え柱を持たない。 詳細の構造は次の通り。切り石を周囲に巡らせたコンクリート製基壇に礎石と布基礎を置き、円柱を2本立ててその上に屋根石を載せる。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は円柱による束柱を2本立て3区画に分け、表面には左右の区画に滝登りする鯉紋、中央の区画に兎紋が彫刻されている。中央の羽目板裏面には「昭和二年五月 寄附人 (家紋)+(人名3名分)」、右側の羽目板裏面には「ナゴヤ西区キクヰ町二丁目 石工 角田乙吉」の文字が刻まれていた。欄間部は、中央に「伊福部神社」と記された扁額を持ち、その両側に頭部を中央に寄せた双龍紋が表現されていた。欄間部の上位には少し隙間が開いている。円柱の柱頭に腕木板は前後にあり、連子窓部は角柱を10本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟状に切り出された反り屋根で、棟木石は外側に少し突き出ている。 伊福部社は、正面から灯籠、一の鳥居、灯籠、二の鳥居、灯籠、蕃塀、灯籠群、狛犬、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、灯籠群、狛犬2対から本殿施設群(本殿や祭文殿など)に至る構成を持つ。 伊福部社の蕃塀は、昭和2年(1927)に石工角田乙吉によって製作されたものである。この角田乙吉の手による蕃塀は本例で15例目となる。本蕃塀は、同町遠島八幡神社の蕃塀と同様に、左右の羽目板表面に滝登りする鯉紋を描いている。一般に、左右の羽目板表面には獅子紋が描かれることが多いので、これも限られた地域に認められる特徴なのかもしれない。
by banbeimania
| 2008-09-13 23:10
| 蕃塀の事例
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