蕃塀(ばんぺい)にこだわったブログです。蕃塀は神社の拝殿の前にある衝立状の塀です。
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『尾張名所図会』に見る蕃塀(10)濱神明社

 『尾張名所図会後編』巻之一(1841年頃筆?:1880年撰)には天道社と濱神明社に関する絵が所収されており、濱神明社の中に蕃塀が描かれている。本文には別宮の説明の部分で「濱神明社 此の東に流あり。昔は此流大にして、潮満ちたるよしいひつたへ、今此社地に船つなぎ松とて大樹あり。」と記されている。では、具体的に絵画を見てみよう。

 『尾張名所図会後編』「天道社 濱神明社」図には左手に濱神明が描かれ、建物に関する注記はないものの、正面から鳥居、蕃塀、拝殿、祭文殿、渡殿を経て濱神明本社に至る構成が示されている。描かれた蕃塀は、樹木の蔭に隠れ詳細な構造を判別しにくいが、おそらく3間巾の連子窓型蕃塀と推測される。
e0113570_2225133.jpg

 さて、現在の浜神明社は一宮市桜3丁目に所在し、祭神は天照大神で元一宮神楽座頭伴忠内の控えであるという。社殿の構成は、正面から灯籠、鳥居、参道を右に折れて蕃塀、やや広い空間があって狛犬から本殿に至るものである。『尾張名所図会後編』と比べるとかなり構成が異なっており、おそらく1841年以降に拝殿などが失われ、入口や鳥居が移動してしまったものと推察される。

 現存する一宮市浜神明社の蕃塀は、戦災で焼け落ち戦後に建てられたもので、3間巾の木造銅板葺き連子窓型蕃塀である。大きさは概略で、本体長約2.9m、全高約2.8m、屋根長約4.2m、屋根巾約1.8mで、両側に控え柱を持つ。現存する蕃塀が再建されたものであることが明らかなので、あまり絵画と比較しても意義が薄いが、大きく構造を変更したものでないように感じられる。

 なお、堀池論文では『尾張名所図会』に描かれた蕃塀を持つ神社として「天道社浜神明」という名称で取り上げられていたが、本文には天道社と濱神明社は別の神社として記述されているので、この表現は誤りと思われる。
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by banbeimania | 2008-10-20 22:34 | 蕃塀を深める | Comments(0)
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