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『尾張名所図会』に見る蕃塀(12)皇大明神社
『尾張名所図会後編』巻之二(1841年頃筆?:1880年撰)には皇大明神社に関する絵が所収されており、そこに蕃塀が描かれている。この皇大明神社は中牧村にあるといい、「牧ヶ輪七箇村の産土神として、天文三年此所に遷座す」と本文に記述されている。
『尾張名所図会後編』「皇大明神社」図にはほぼ中央に「透垣」と注記された蕃塀が描かれている。正面から鳥居、透垣、拝殿、祭文殿、渡殿を経て本社に至る構成が示されている。描かれた蕃塀は、2間巾の連子窓型蕃塀と思われ、切妻屋根で背後のみに控え柱を持っているように見える。 さて、この皇大明神社は稲沢市祖父江町中牧字宮原に所在する皇大明神社を指していると推測される。現在の中牧皇大明神社の蕃塀は、3間巾の木造銅板葺き連子窓型蕃塀である。大きさは概略で、本体長約3.5m、全高約2.6m、屋根長約4.7m、屋根巾約1.6mで、両側に控え柱を持つ。『尾張名所図会後編』と比べると社殿構成は細かい施設に異同が多く認められるが、概ね合致していると評価できるだろう。蕃塀の構造は、柱間数が異なる点や控え柱の内容が異なっているので、両者が全く同一のようには感じられない。おそらく1841年以降に、絵図に示された形状の蕃塀が廃され、現存する蕃塀に建て替えられたものと推察されよう。 なお、堀池康夫・堀池哲生「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その2」には、天保十二年(1841)の『尾張名所図会』に蕃塀が建っている神社として皇大明神社が取り上げられていない。
by banbeimania
| 2008-10-22 20:04
| 蕃塀を深める
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