現在は束柱のみを置く欄間部の事例を紹介している。今回は、束柱のみDタイプを取り上げてみる。
円柱を複雑に削り込んだ分銅形の束柱を置く「束柱のみDタイプ」の欄間部を持つ石造連子窓型蕃塀には、小牧市入鹿出新田神明社と岩倉市東町神明社の2社に事例が認められる。
小牧市入鹿出新田神明社の蕃塀の欄間部
岩倉市東町神明社の蕃塀の欄間部
製作年代と作者に着目すると、入鹿出新田神明社の蕃塀は1918年に岩倉市の石工石甚によって製作され、東町神明社は1917年に建造されたが作者は不明である。両者とも1910年代に建造されたことが分かり、このタイプの欄間部がある蕃塀は石造連子窓型蕃塀としては古いことが明らかになった。