現在は木造連子窓型蕃塀の桟瓦葺き屋根を検討している。前回は、側面に並掛瓦が用いられ大棟に普通の鬼瓦が使用される「桟瓦葺き屋根Cタイプ」を紹介した。今回はもう少しこのタイプを検討したい。
側面に並掛瓦が用いられるものとして、桟瓦葺き屋根Aタイプと桟瓦葺き屋根Cタイプの屋根がある。これらの並掛瓦が用いられる屋根は、降棟が両端に存在するものが大半を占め、12例中11例を数える。降棟の先端付近に留蓋瓦を置くものも半数(6例)を占めている。この結果、側面を装飾する並掛瓦が用いられる屋根は、側面ばかりでなく屋根全体の造りが複雑なものとなっていることが判明する。
唯一、降棟を持たないで側面に並掛瓦が用いられる木造連子窓型蕃塀の一宮市大和於保大神社例は、並掛瓦の軒平瓦部分が花弁状に波打った形となっており、あまり見ないタイプと言えよう。