2間巾の石造連子窓型蕃塀の羽目板部は大きく11類に区分できるが、今回は最後の横板を嵌め込む事例について詳しく検討していきたい。
横板を嵌め込む羽目板部を持つ2間巾の石造連子窓型蕃塀には、岩倉市大市場県明神社、岩倉市大市場神明社の2事例のみが存在する。これを具体的に例示する。

岩倉市大市場県明神社の蕃塀の羽目板部

岩倉市大市場神明社の蕃塀の羽目板部
この大市場県明神社と大市場神明社の蕃塀は、製作年代と製作者はともに不明である。大市場県明神社例は羽目板の表面が無紋のままであるのに対して、大市場神明社例は羽目板の表面に梅樹紋がレリーフされている。家紋のような梅花紋は類例を挙げることできるが、このような梅樹の紋様はこれまで紹介してきた蕃塀の中では例を見ないものであった。