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犬山市宮浦神明社の蕃塀
犬山市字宮浦に所在する神明社は、仁寿元年(851)に創建され、享保10年(1725)に現在地に移したという。祭神は天照大神である。境内にある大クスノキは推定樹齢300年、幹周485cmを測る犬山一の巨木である。
宮浦神明社の蕃塀は2間巾の木造銅板葺きである。大きさは概略で、本体長約2.7m、全高約2.7m、屋根長約3.2m、屋根巾約1.7mで、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切り石による布基礎に丸太材の柱3本を立て、下から順に腰板の貫、腰長押、内法長押を通し、上端は棟木を渡す。内法長押の上に肘木と簡略化した雲形腕木を配置して表裏両面の桁を支え、垂木を渡して屋根を載せる。屋根は切妻造りで銅板が一文字葺きされ、反りのある照り屋根となっている。大棟の両端には銅板による鬼板が配置され、肘木・腕木・垂木の先端は銅製飾金具で装飾されている。蕃塀の中央には連子窓があるが、下部は本来嵌め込まれるはずの羽目板が欠損している。蕃塀の表側に目が比較的細かい鉄柵が設置されている。控え柱は石製であるが、控え貫および足元貫は木製。 宮浦神明社は正面から一の鳥居、蕃塀、狛犬、壁の無い吹き抜けの拝殿から本殿に至る構成を持つ。犬山市内で蕃塀を持つ神社の構成におおよそ合致している。 宮浦神明社の蕃塀は、正面に鉄柵が設置されており、一見異様である。下部の羽目板が失われていることから推察するに、何らかの原因で蕃塀の破壊が進んだ結果、やむを得ず鉄柵を設置せざるを得なかった事情が垣間見える。写真は表からの映像を避け裏から撮影した(2006年10月下旬)。大棟の銅板に金彩で桐紋が配置されているような風雅な蕃塀が、このような状態であることが痛ましく感じられる。
by banbeimania
| 2007-02-15 00:05
| 蕃塀の事例
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