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犬山市木津三明神社の蕃塀
犬山市大字木津字宮前に所在する三明神社は、宝暦7年(1757)に創建されたという。神社の案内看板によると、木曽川の氾濫の折に現存の桧樹と共に小祠が流れ着いたものを村人が祀ったという言い伝えがある。木津本来の鎮守は木津用水取入樋門南口西側に鎮座しており、他にも字西ノ山に水神社・稲荷社・富士宮・庚申塚、字前畑には秋葉社・天王社、字池田には山ノ子社があった。これらは大正初期に現三明神社に合祀され、木花開耶姫命などを祭神としている。
木津三明神社の蕃塀は3間巾の石造で、大きさは概略で本体長約2.7m、全高約2.3m、屋根長約4.0m、屋根巾約0.7mを測り、両側には控え柱を持たない。 詳細の構造は次の通り。基壇上に切り石による土台石を載せ、その上に石造の円柱を2本立て、さらに屋根を載せている。円柱の内側には、下から羽目板部、貫、連子窓部、貫、透かし部の順に石材を積み重ねている。羽目板部は2本の円柱を立て区画を造り3つの区画に分けている。透かし部は中央に奉納と記された扁額状の装飾が存在する。連子窓部と透かし部とも比較的単純な紋様が施されている。円柱の上位に雲形腕木を模した張り出しが付属している。連子窓部は角柱を12本立てて造られる。屋根は寄せ棟状に切り出され、その上に大棟が配置され鬼板は持たない。 木津三明神社は、正面から灯籠、鳥居、蕃塀、壁の無い吹き抜けの拝殿、狛犬、神木があり、基壇上の本殿施設群に至る構成を持つ。 蕃塀の左側円柱の背面には「大詔奉戴記念」、右側円柱の背面には「昭和十六年十二月 石工柏森奥村末武」と刻まれており、製作年代と建立の契機と製作者が判明する。楽田青塚前神明社の石製蕃塀に比べると、羽目板部と透かし部に獅子や双龍などの彫刻が存在しない分、簡素でおとなしい印象を持つ。
by banbeimania
| 2007-04-04 00:06
| 蕃塀の事例
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