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北名古屋市熊之庄熊野社の蕃塀
北名古屋市熊之庄字大畔に所在する熊野社は上之切の社で、創建年代は不明である。『師勝町史』によれば、慶長20年(1615)の棟札「奉建立熊野御本地(梵字)御宝殿一宇武運長久所」が最も古い記録であり、それ以前の創建と思われる。伊弉册尊を祭神としている。
熊之庄熊野社の蕃塀は3間巾の木造銅板葺きである。大きさは概略で、本体長約3.8m、全高約3.1m、屋根長約5.2m、屋根巾約2.0mで、両側には控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。コンクリートによる土台に角材柱を4本立て、下から順に腰板の貫、腰長押、内法長押を通し、上端は棟木を渡す。内法長押の上に簡略化した雲形肘木と腕木を配置し表裏両面の桁を支え、垂木を渡して屋根を載せる。屋根は切妻造りで銅板が一文字葺きされ、僅かに反る照り屋根となっている。大棟の両端は外側に突き出て鬼板を配置している。蕃塀の中央には連子窓が設けられ、その上下には縦羽目板が嵌め込まれている。控え柱は全て木製で、コンクリートによる土台にボルトで固定されている。蕃塀そのものは古い可能性があるが、その場合は基礎のみを作り替えた可能性も考えられる。 熊之庄熊野社は、正面から石柱、灯籠、一之鳥居、二之鳥居、蕃塀、灯籠、狛犬、壁の無い吹き抜けの拝殿、灯籠、狛犬から基壇上の本殿施設群に至る構成となっている。参道が比較的長くやや施設が多い神社である。 熊之庄熊野社の蕃塀は3間巾でやや長いものである。『師勝町史』によれば、施設の紹介で「不浄よけ一」という記述があり、これが蕃塀を示していると思われる。また、棟札の紹介で25番目に紹介されている「透垣」が蕃塀のことを示しているとすれば、「昭和四年 河村千万太郎」と記述されていることから、蕃塀は昭和4年(1929)に建立されたと推測される。
by banbeimania
| 2007-04-18 00:28
| 蕃塀の事例
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