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稲沢市法花寺町日吉社の蕃塀
稲沢市法花寺町添畑に所在する日吉社については、創建年代など詳細は不明である。『寛文村々覚書』に記述はないが、『尾張徇行記』や『尾張志』には法花寺村に山王があると記されている。境内には石碑が2つあり、それぞれ「奉納 日吉神社 本殿祭文殿新築拝殿修復 天神社本殿新築 平成十一年八月吉日」、「奉納 日吉神社玉垣新設 寄附金総額貳百六拾八萬円 昭和55年12月吉日」と記されている。平成11年に天神社が合祀されたのであろうか。祭神は社名からみて大物主神または大山咋神と推察される。
法花寺日吉社の蕃塀は、3間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.7m、全高約2.4m、屋根長約3.6m、屋根巾約0.6mを測り、両側は控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切り石を周囲に巡らせた基壇に礎石と布基礎を配置し、その上に円柱を2本立てて屋根を載せている。円柱の内側には下から羽目板部、貫、連子窓部、貫、透かし部の順に材を積み重ねている。羽目板部は角柱を2本立てて3つの区画に分け、表面は左右の区画に獅子紋、中央の区画に虎紋が彫刻されている。一方、中央の区画裏面には「昭和五年十月建之」、右側の区画裏面には「ナゴヤ西区八坂町 石工 角田六三郎作」の文字が刻まれていた。透かし部は双龍紋が描かれ、その形状は頭部を透かし部の両端に配置して2匹の龍が向かい合い中央に扁額を持たないAタイプである。円柱上位に雲形腕木を模した張り出しが前後にあり、連子窓部は角柱を10本立てて造られている。屋根は寄棟状に切り出された反りを持つ屋根で、大棟の両端は外側に突き出ている。控え柱も全て石製で、頭部は宝珠形に作られている。 法花寺日吉社は、正面から灯籠、鳥居、長い参道、蕃塀、灯籠、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、灯籠、狛犬から基壇上の本殿施設群(祭文殿や本殿など)に至る構成を持つ。 法花寺日吉社の蕃塀は、昭和5年(1930)に名古屋市西区八坂町の石工角田六三郎によって製作されたものである。角田六三郎の作品らしい彫刻に味わいが感じられる。
by banbeimania
| 2007-11-01 23:28
| 蕃塀の事例
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