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名古屋市名東区一社貴船社の蕃塀
名古屋市名東区一社3丁目に所在する貴船社は、寛文2年(1662)に創建されたという。伝承によると、景行天皇の時に武内宿祢がこの地域の田畑が荒れているのを見て白鷹の羽で作った矢を授け、罔象女命を祀らせてできた「矢白神社」があり、この矢白神社が貴船社であるとも伝えられる。以上の経緯からみて、祭神は岡象女神と思われる。
一社貴船社の蕃塀は、2間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約2.7m、全高約2.3m、屋根長約3.3m、屋根巾約0.5mを測り、両側には控え柱を持たない。 詳細の構造は次の通り。自然石で囲まれた基壇に礎石と布基礎を置き、円柱を2本立ててその上に屋根石を載せる。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は幅広の角柱による束柱を1本立て2区画に分け、表面には獅子紋が施されている。右側羽目板部の裏面には「従兄弟会 (人名10名分) 昭和四十二年十月」の文字が刻まれていた。欄間部は「貴船神社」と記された扁額を中央に置き、その両側には頭部を両端に置いた双龍紋が施されている。円柱の柱頭に腕木板はなく、連子窓部は角柱を13本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟状に切り出された直線屋根で、棟木石はやや外側に突き出ている。 一社貴船社は、正面から石柱、階段を登り鳥居、灯籠群、さらに階段を登り狛犬、蕃塀、灯籠、コンクリート製平入拝殿から本殿施設群に至る構成を持つ。 一社貴船社の蕃塀は、昭和42年(1967)に製作されたが、作者は不明である。本蕃塀は、屋根の構造など一部を除き、上社日吉神社の蕃塀と類似している。特に、羽目板部の獅子紋と欄間部の双龍紋の作風はよく似ており、両蕃塀の作者は同一である可能性が高いと言えよう。
by banbeimania
| 2008-08-01 00:20
| 蕃塀の事例
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