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名古屋市中村区中島八幡社の蕃塀
本日からは名古屋市中村区に所在する蕃塀を紹介していきたい。名古屋市中村区則武本通2丁目に所在する中島八幡社は、那古野原北部に鎮座したものを、慶長15年(1610)に築城された名古屋城の敷地に罹ったために当地に遷座したものであるという。祭神は応神天皇と思われる。
中島八幡社の蕃塀は、3間巾の木造銅板葺き連子窓型蕃塀である。大きさは概略で、本体長約3.2m、全高約2.9m、屋根長約4.4m、屋根巾約1.9mで、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切り石で囲まれたコンクリート製基壇に礎石と布基礎を置き、その上に円柱を4本立てて下から順に地貫、腰長押、内法長押を通し、上端は棟木を渡す。内法長押の上位に簡略化された雲形肘木と雲形腕木を架し、表裏両面の出桁を支え垂木を渡して屋根板を載せている。垂木の先端には銅製錺が装飾されていた。屋根は切妻造りの反り屋根で、銅板が一文字葺きされていた。大棟は銅板で造られその両端には銅製鬼板が置かれている。蕃塀の中央には竪連子窓が設けられており、その上には横羽目板が、下には縦羽目板が嵌め込まれていた。全体に白木造りであり、控え柱は石製、控え貫は木製で造られている。左から二番目の主柱裏面には「昭和八年十月 寄附者 西菊井町 (人名2名分)」の文字が刻まれていた。 中島八幡社は、正面から灯籠、鳥居、蕃塀、狛犬、灯籠、木造妻入拝殿、狛犬、渡殿から本殿施設群(祭文殿や本殿)に至る構成を持つ。 中島八幡社の蕃塀は、昭和8年(1933)に製作されたが、作者は不明である。木造連子窓型蕃塀で製作年代が判明する事例は少ないが、そのほとんどは金属プレートに記されるものか、石製控え柱に刻まれたものである。本蕃塀は主柱に直接的に年代や寄附者が刻まれたものであり、極めて珍しい事例といえよう。
by banbeimania
| 2008-08-26 00:43
| 蕃塀の事例
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