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堀池論文を読む(14)
蕃塀に関する先行研究として、堀池康夫氏と堀池哲生氏の論文「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)」がある。この論文は昭和57年〜昭和61年の5年間にわたって、その1〜その5に分けて発表されたもので、本ブログでもすでに「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その1」について紹介してきた。ここで久しぶりに、暫くの間、この堀池康夫氏と堀池哲生氏の論文「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その2」を紹介していきたい。
なお、本論文は、社団法人日本建築学会の学術講演梗概集.計画系のVol.58,No建築歴史・建築意匠(19830901)に収録されたもの(pp. 2637-2638:昭和58年9月)であり、無料一般公開されており、国立情報学研究所「CiNii論文情報ナビゲータ」でPDF(Full Text)をダウンロードできる。また、堀池康夫氏は岐阜女子大学教授、堀池哲生氏は岐阜女子大学非常勤講師(いずれも当時)である。 では「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その2」を読んでみよう。 1)はじめに — 昨年の学術講演会研究発表において述べた伊勢神宮の蕃塀にその起源をもつと考えられる尾張地方の多くの神社に建つ、この地方で一般に藩塀、不浄除け、見切りものと呼ばれる蕃塀(以下これを尾張型蕃塀とよぶ)について実地及び資料による調査結果を述べ、その型式、構造及び機能につき建築史的解明への道を考える。 2)尾張型蕃塀の型式と配置 — 内外宮の蕃塀の如く視線の完全遮蔽の木造独立板壁の型式ではなく、尾張型蕃塀は、木造又は石造の竪連子の腰付透塀状独立障壁で、一応視線遮断の機能目的をもつもので、尾張地方すべての神社に建つとは言へないが、多くの神社にそれを見ることが出来る。(以下つづく)(堀池康夫・堀池哲生「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その2」より抜粋) この部分では、蕃塀が大きく「内外宮の蕃塀」と「尾張型蕃塀」の2種類が存在すると記されている。「内外宮の蕃塀」は視線の完全遮蔽の木造独立板壁の型式、「尾張型蕃塀」は木造又は石造の竪連子の腰付透塀状独立障壁と説明されていることから、私の分類では「内外宮の蕃塀」=衝立型蕃塀、「尾張型蕃塀」=連子窓型蕃塀に対応すると思われる。 ところで、『蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その1』では、上記の2種類の施設を「蕃塀」と「藩塀」という用語を用いて使い分けていた。今回『その2』で突然特に説明も無く「藩塀」という用語が消え、新しい名称が提示されている。おそらく、私のいう連子窓型蕃塀を「藩塀」と表現する上で何らかの不都合があり、「尾張型蕃塀」の方が相応しいという判断があったものと推察される。 いずれにしても、(尾張型蕃塀)「について実地及び資料による調査結果を述べ、その型式、構造及び機能につき建築史的解明への道を考える」とあるので、その論旨の行方に注目したい。
by banbeimania
| 2008-10-06 21:45
| 蕃塀を深める
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