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『尾張名所図会』に見る蕃塀(14)山王社
『尾張名所図会後編』巻之三(1841年頃筆?:1880年撰)には山王社に関する絵が所収されており、そこに蕃塀が描かれている。この山王権現社は清須本町の東にあると本文に記述されている。
『尾張名所図会後編』「山王社」図にはほぼ中央に「透垣」と注記された蕃塀が描かれている。正面から鳥居、神門、透垣、拝殿、祭文殿、渡殿を経て本社に至る構成が示されている。描かれた蕃塀は、3間巾の連子窓型蕃塀と思われ、切妻屋根で前後に控え柱を持っているように見える。 さて、この山王社は清須市清洲に所在する日吉神社を指していると考えられる。この日吉神社については、本ブログでは未だ紹介していないが、既に参拝自体は終えており、現在神社にある蕃塀は両側に控え柱を持つ3間巾の木造桧皮葺き連子窓型蕃塀であることが判明している。『尾張名所図会後編』と比べると、社殿構成は概ね合致していると評価でき、蕃塀の構造も近似している。現存する日吉神社の蕃塀は、1841年に描かれた蕃塀がそのまま残存したものであろうか。 なお、堀池康夫・堀池哲生「蕃塀の研究(その民俗学的建築史の解明)その2」には、天保十二年(1841)の『尾張名所図会』に蕃塀が建っている神社として山王社が取り上げられていない。
by banbeimania
| 2008-10-24 22:04
| 蕃塀を深める
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