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清須市朝日厳島神社の蕃塀
清須市朝日字河原に所在する厳島神社は、創建年代などの由緒は不明である。『清洲雑誌稿』には朝日に神明社が祀られていたが、慶長16年(1611)に名古屋市中区朝日神明社に遷った後は弁天祠を祀り、明治維新後に社名を改めたと記されているという(『きよす「歴史・散策」〜神社編〜』より)。祭神は市杵島姫命である。
朝日厳島神社の蕃塀は、2間巾の石造連子窓型蕃塀で、大きさは概略で本体長約1.8m、全高約1.9m、屋根長約2.6m、屋根巾約0.6mを測り、両側に控え柱を持つ。 詳細の構造は次の通り。切り石を周囲に巡らせたコンクリート製基壇に礎石と布基礎を置き、礎石上に円柱を2本立ててその上に屋根石を載せる。円柱の内側には下から羽目板部、腰貫、連子窓部、内法貫、欄間部の順に材を積み重ねている。羽目板部は角柱による束柱を1本立て2区画に分けられ、表面には獅子紋が彫刻されていた。左側の羽目板裏面には「昭和十二年一月」の文字が、右側の羽目板裏面には「寄附人 (人名3名分) 東区ビワジマ町 石匠荒木弥助」の文字が刻まれていた。欄間部は扁額を持たず頭部を右側に置く単龍紋が表現されていた。円柱の柱頭に腕木板は前後にあり、連子窓部は角柱を7本立てて竪連子に造られている。屋根は寄棟状に切り出された反り屋根で、棟木は屋根石から切り出されて低く造られている。控え柱は全て石製で、頭部は宝珠に造られていた。 朝日厳島神社は、正面から鳥居、蕃塀、壁の無い吹き抜けの妻入拝殿、灯籠、狛犬から基壇上の本殿に至る構成を持つ。 朝日厳島神社の蕃塀は、昭和12年(1937)に名古屋市西区東枇杷島の石工荒木弥助によって製作されたものである。これまでに確認された石工荒木弥助の手による石造蕃塀には、一宮市丹陽外崎八幡社の蕃塀(1918)、稲沢市治郎丸天神社の蕃塀(1922)、名古屋市北区大井神社の蕃塀(1928)、北名古屋市九ノ坪十所社の蕃塀(1931)、海部郡甚目寺町方領八幡社の蕃塀(1935)、稲沢市儀長貴船社の蕃塀(1936)、海部郡七宝町下之森八幡社の蕃塀(1936)、稲沢市七ツ寺十五所社の蕃塀(1937)、西春日井郡豊山町豊場八所神社の蕃塀(1938)の9事例がある。また、東枇杷島町の荒木石材店の作品には海部郡大治町花常八幡社の蕃塀(1955)がある。本蕃塀のように欄間部に単龍紋が表現されるという特徴は、荒木弥助の作品に限らず類例が少ないものである。
by banbeimania
| 2008-11-22 23:09
| 蕃塀の事例
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